工藤浩司オピニオン 公式ブログ


世界を飛び回る日本人   工藤浩司のオピニオン  
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工藤 浩司 (くどう こうじ)
1971年青森県十和田市生まれ。

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<   2007年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧


原爆投下と久間元防衛相の発言(完全版) 

2007年6月30日、久間防衛相が、麗沢大学で講演して、米軍が日本に原爆を投下したことについて「原爆を落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今、しょうがないなと思っている」と述べ、波紋を呼んだ。

私はこの発言を聞いたとき、何も驚かなかった。なぜかと言えば、日本人を歴史的に観察すると、これほど日本人の原爆感覚をよく表している表現はないように思えるからだ。

日本人はアメリカの原爆投下に関して、日本人は原爆を投下した行為を批判してこなかった。少なくとも裁判という形はとってはいない。アメリカで、訴訟を起こすことは十分可能だったはずだ。だが、国家も個人もアメリカ国家を訴追しようとはしなかった。東京裁判で、日本の主張が取り上げられなかったという事情はある。だが、その後、アメリカで裁判を起こすことはしなかった。戦後の日本で原爆に関しての裁判はいくつかあるものの、その対象は日本国家である。つまり、誰もアメリカを批判してこなかったということに変わりはない。

戦後の韓国人や中国人は、日本政府を対象に訴訟を起こし続けている。韓国人や中国人が、訴訟対象とするのは日本政府である。行為対象の国を批判する。だからこそ、批判をし続ける筋が通るのである。日本と中国とは日中共同声明で、韓国とは日韓基本条約で、それぞれの国は日本に対する請求権を失った。だが、それでも、請求し、謝罪を要求し続けるのである。

日本人が戦争のことで裁判を起こす場合、行為者ではないはずの日本の政府に対してのものがだけなのである。日本政府が原爆を実際には落としたわけではないのにかかわらずである。だが、日本人のほとんどが、「原爆を落としたアメリカが悪い」と考えるよりも、「戦争で悪いことをしてしまった代償としての原爆」をある意味で、受け入れているのである。

原爆を落とすことになった当の米国とは、世界でもっとも「仲のいい間柄」になった。日本人はアメリカ人の生活様式を真ね、それが「すばらしいもの」だという錯覚をし続けた。日本人には、原爆を落とした国にその責任を追及する努力も気概も見当たらない。「しょうがないと思っている」と言われても不当だとも言い切れない。

日本人の原爆感覚というのは「アジアで不当な行為を行ってきた」という罪悪感に裏付けられたもので、どこか、後ろめたさが付きまとう。日本政府の行為が、戦争犯罪であったかどうか、ということは国際法上の議論があるにせよ、決して後世の世代の人間たちが、誇れるものではない。だから、こそ日本人は潜在的に「原爆投下」という事実を心の中で、正当化してきたのだと言える。

久間防衛相の発言そのものは妥当だという話ではない。妥当ではないだろう。政治的な発言をそのまましてしまうところに、防衛相の落ち度があり、その資質のなさがうかがえる。

だが、その発言には日本人が戦後とってきた態度をうまく表していると感じざるを得ない。

日本人は本当に原爆を悪いものだと理解しているのだろうか。なぜ、その行為を批判することをしなかったのか。批判してきている、というかもしれないが、それは政治的・社会的・国際的な行為とまで理解されていない。

私が、世界で、「なぜ、日本は原爆を落としたアメリカを非難しないのか?」とよく聞かれるのだが、それは日本人が原爆投下という行為に対して、徹底して糾弾していこうという態度が見えないからに違いない。

日本人が、原爆を悪いものだと考え、そして、原爆を落とした政府や国を悪いと考えるのであれば、アメリカで、裁判を起こし、徹底的にアメリカの非を追及すべきだ。自らは何の行為も起こさず、政治家が原爆に対しての発言をしたときだけ、その怒りを露にするのであれば、それは国際的にはまったく不思議な態度であるとしか、言いようがない。
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by kudo_koji_blog | 2007-08-01 09:29 | 国際